プライドがあってこそ仕事は充実すると考えています。タクシー会社にとってのプライドとは、親切で丁寧な接客を心掛けることだと思っており、この言葉はお客さまに接する従業員と共有しています。年に数回は従業員研修の場などで、「東京でタクシーに乗った時、こんな親切な接客を受けた」という実例を交えながら、場面場面で私の思いも伝えています。
従業員のモチベーションを高めるために、車両更新の際には新車を導入しています。洗車や車を磨くことは従業員自らが行い、それは仕事に誇りを持つことになり、結果的に自分磨きにもつながります。これがお客さまの満足度向上につながる良いサイクルとして出来上がっていけばいいなと思っています。
私はいつも朝早く出社し、現場に出発する従業員の見送りをしています。顔を合わせることで、人と人との接点を持つことが大事と考えているからです。経営者だから偉いということはありません。あくまでも会社は従業員が支えてくれているということ。従業員の信用が会社の信用につながっているからです。
私は従業員とよく話をすることを心掛けています。もちろん様々な従業員がいますが、一人一人のことは常に頭の中に入っています。従業員は「自分のことを社長が分かってくれている」と思ってもらえれば、働く上での安心感にもつながりますからね。
タクシーは単にお客さまを目的地に届けるだけではありません。乗車したお客さまにとって心のよりどころになる場合もあります。例えば20年ほど前の話になりますが、近道をして料金が安くなったにもかかわらず、お客さまからお叱りを受けたということがありました。乗務員は良かれと思って近道をしたのですが、実はお客さまにとって思い入れがある道を通らずに目的地に到着してしまったのです。乗車して移動すること自体にストーリー性があることを実感させられました。
お客さまも乗務員との会話を楽しもうとする方もいるし、だまっていてほしいと思われている方もいる。乗務員は、お客さまにご満足いただけるよう努力が欠かせません。当社はこれまで築いてきたノウハウを継承しながら、今後もプライドを持ち続けるスタンスを大切にしていきます。