コラム:コーデとコスメ

 時の流れが速くなったのでしょうか、各種メディアからは言葉の簡略形が次々と発信され、世に広まっています。

 代表的なのは「東京オリパラ」。「東京オリンピック・パラリンピック」の略形です。NHKでさえ「東京オリパラ団・団員募集」という掲示を出しています。

 高齢男性の無知の産物...。最近、気になった言葉の一つに「コーデ」があります。「あーでこーで」が「こーで」になったかと思いきや、さにあらず、「コーディネート」を短くしたもの。

 さらに調べてみると、英語の coordinate に由来し、普通「コーデ」というと、服装の色柄・素材・形などが調和するように組み合わせること。主として「レディ」の領域に属し、私のような old (gentle) man には、無縁の言葉だと知りました。

 英語の coordinate は通常「国際会議をコーディネートする」のように各部を調整し、全体をまとめることを意味しますが、和訳しにくい語の一つです。

 さらに、以前、戸惑った言葉に「コスメ」があります。どうしても「こむすめ」にしか聞こえないのです。何だろうと思っていたら、石巻専修大で講義をしていた頃のこと、女子学生が自己紹介で「私の趣味はコスメです」と言ったことから分かりました。

 「化粧品」を意味する英語 cosmetics(コスメティックス)に由来し、「化けて粧う品」という重々しさから解放され、若い世代が気軽に使える言葉とのこと。

 cosmetic は「宇宙・秩序」を意味する cosmos(コスモス)と同語源で、言うなれば「無秩序」な顔に「秩序」をもたらす技術でしょうか。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)