コラム:D-Day

 去る6月6日は「ノルマンディー上陸作戦(D-Day)」の開始日から75周年を迎え、現地で記念式典が開かれました。

 この作戦の正式名称は「オーヴァーロード作戦」"Operation Overlord"(「大君主作戦」)。D-Dayとは、作戦開始日時を表すアメリカの軍事用語とのこと。第2次大戦中にナチス・ドイツ占領下のヨーロッパに連合国軍が侵攻を開始した日です。

 ノルマンディー(Normandy)はイギリス海峡に臨むフランス北西部の地方で、その歴史は911年にノルマン人がノルマンディー公国を建国したことに始まります。

 私は2005年、イギリス南部の港サウサンプトン(Southampton)から船に乗り、ノルマンディー・コタンタン半島の先端の港町シェルブール(Cherbourg)を訪れました。フランス映画「シェルブールの雨傘」(Les Parapluies de Cherbourg/1964年)の背景となったこの町を見てみたかったからです。

 映画と言えば、ノルマンディー上陸作戦を舞台にした米国映画「プライベート・ライアン」(1998年)。原題は"Saving Private Ryan"、直訳すると「ライアン2等兵の救出」。「たった一人の命を救うために、多くの人間が犠牲を払ってもいいのか?」を問いかけるスピールバーグ監督の力作で、私が最も感動を覚える映画の一つです。

 「プライベート」(private)は、「私的な」という意味で一般に用いられていますが、アメリカ陸軍などの2等兵・兵卒といった最下級を表す軍隊の階級の一つです。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)