このところ、NHK・BSプレミアムで再放送されている「おしん」に夢中になっています。連続テレビ小説として人気を博していた昭和58年4月から59年3月にかけては勤務のため見逃していました。
とりわけ「少女時代」の小林綾子さん、彼女と関わる「大奥さま」の長岡輝子さん、泉ピン子さん、そして、わが故郷の誇り中村雅俊さんの真に迫る演技に心を動かされ、しばしば涙を流しています。一つは、セリフです。柔らかな響きの山形弁は石卷の言葉に通じるものがあり、子どもの頃を思い出すのです。たとえば、子どもを意味する「おぼこ」...こんな可愛らしい言い方が他にあるでしょうか?
さてご存じのとおり、「おしん」はやがて海外でも評判になり"Oshin"と題して英語版が外国で放映されました。1984(昭和59)年3月11日付のニューヨーク・タイムズは、"one of the most popular programs in Japanese television history"(日本のTV史上で最も人気を博した番組)と紹介した上で、"a synonym for patience and endurance"(忍耐、辛抱との同意語)と評しています。
また、インドネシアやエジプトなど海外で広く放送され、人々の共感を呼ぶとともに "Oshindrome"(オシンドローム)という言葉を生み出しました。
特にベトナムでは大変な評判となり、"Oshin"は身を粉にしてせっせと働く「お手伝いさん」を指す外来語として、国語辞典に載るほどになったことはよく知られています。
大津幸一さん(大津 イングリッシュ・スタジオ主宰)