陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画をめぐって、配備先として陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)を適地とした防衛省の調査報告書の誤りと住民説明会での職員の居眠りが問題となりました。17日、岩屋防衛相が佐竹知事に謝罪。しかし、地元は納得せず、まさに泥沼の様相を呈しています。
「イージス・アショア」とは、イージス弾道ミサイル防衛システムを地上に配備し、対地ミサイル防衛システムとして運用するもの。まずは、すっかりおなじみになった「イージス」の由来について記してみたいと思います。
この言葉は、はるか昔、ギリシャ神話にさかのぼります。神話の中で全知全能である神々の王のゼウス(Zeus)が、その娘の女神アテナ(Athena)に与えたという盾「アイギス」(Aigis)に由来するとのこと。邪悪・災いを払う魔除けの力を持つとされています。
2002年、テロ対策特別措置法に基づき、国会での反対の声を押し切って、イージス艦「きりしま」が海外に派遣されました。
一方、「アショア」は英語の ashore から。shore(ショア)は「海岸、海辺」で、a が付いて ashore となると「海辺に→陸上に」という意味を表します。たとえば the sound of waves rushing ashore は「波が岸辺に寄せる音」。
女神アテナに与えられた「悪を払う盾」の陸上配備...。その盾の背後で生活する秋田市民のことを十分に考慮した慎重な姿勢が望まれるのはもちろんです。
大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)