【水戸一志 選/評】
◎うら若い娘時代から懸命に働き続けた女性の老いた姿が浮かぶ。しみじみと見詰める手には、しわであったりタコであったり、長く働いた痕跡が残っているのであろう。「杖たより」の結びには、老いに逆らわぬ現在の清々(すがすが)しさを感じる。
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◎ 働いたこの手も今は杖たより (東松島市矢本・後藤桃子)
国会の万機公論丁寧に (東松島市矢本・菅原れい子)
負の連鎖次の議員はそこにいる (石巻市向陽町・佐藤功)
年金を知らぬ人生うらやまし (東松島市矢本・鈴木はつへ)
二千万円夢でいいから数えたい (石巻市駅前北通り・津田調作)
梅雨入りしニコニコ顔のランドリー (東松島市矢本・畑山講也)
お買い物カードで払いリッチ感 (石巻市蛇田・大山美耶紀)
耕不尽細くも長く生きてきた (東松島市小松・畠山信雄)