川柳(7/7掲載)

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【水戸一志 選/評】

◎童謡「夕焼小焼」が作られたのは、今から100年近く前の1923年。その年に関東大震災が起きた。歌の抒情に悲しい影はないが、時の起伏を経て、人それぞれに懐古や鎮魂の涙を誘う。上五は津波被災地の情景に重ねるフィクションとして鑑賞した。

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◎ 訃の報(しら)せ海に夕焼け野に小焼け  (多賀城市八幡・佐藤久嘉)

  目をこらし入選を追う無い名前  (石巻市蛇田・鈴木醉蝶)

  初々しい胸の名札がレジを打つ  (東松島市矢本・阿部房枝)

  東西でカジノに群れる亡者たち  (石巻市築山・飯田駄骨)

  関税を武器にトランプ腕まくり  (石巻市不動町・新沼勝夫)

  オルレ旅10キロコースに音をあげる  (石巻市桃生町・高橋冠)

  出ぬはずの電話つながる梅雨の闇  (石巻市桃生町・北のから猫)

  失って初めて気づく旧友(とも)の恩  (石巻市井内・高橋健治)