コラム:よろしく伝えて下さい

 先日、「2019年度・石巻専修大学開放講座」の講師を依頼され、一般市民の方々を前に英語や日本語についておよそ90分の講話を。皆さんには熱心に耳を傾けていただきました。

 終了後、数名の女性が私のところに来て、こうあいさつをされました。「渡波のA.T.スタディルームで英会話を習っています」。この教室を主宰するのは武山明美さん。社会人として活躍した後、石巻専修大学を卒業された人です。

 ちょっと話を交わしたあと女性たちは、別れ際に異口同音に「武山先生から "Say hello to Mr.Ohtsu." とのことです」と。

 なるほど、と思いました。教室で習ったであろう英語表現を実際の場で使ってみる...つまり「アウトプット」によって自分の中に定着する...武山先生の教えにあらためて敬服したしだいです。

 さて、この "Say hello to ~" は直訳すると「~にこんにちはと言って」ですが、「~によろしく」という意味でよく用いられる表現です。

 ほかに、「~さんによろしくお伝えください」など、やや形式ばった場合は "Remember me to ~" あるいは "Please give my best regards to ~" が一般的です。手紙や電子メールの末尾で、私がよく用いるのは "With my best regards / wishes" ですが、これは日本語の「敬具」に相当するでしょうか。

 いろいろとありますが、私は "Say hello to ~" という表現に引かれます。さりげなく初夏の風のようにサラッとしているからです。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)