日本の漫画を紹介する「Manga マンガ」展が、ロンドンにある大英博物館(British Museum)で開催中です。海外での漫画展覧会としては史上最大規模とのこと。
「あの大英博物館で?」...。ニュースに接した時、かつて訪れ、その偉容さに圧倒された私にとっていささか違和感を禁じ得ませんでした。
イギリスのメディアからは批判的な反応も。たとえば、英紙「ガーディアン(The Guardian)」は5月21日付の記事で、" not knocking manga or its fans, but what has it got to do with the British Museum? "(マンガおよびそのファンを攻撃するものではないが、大英博物館とどんな関係があるのか?)とした上で、「偉大な博物館の意義を放棄する悲喜劇」だと記しました。
英国人の大英博物館への思いは並々ならぬものがあります。まさに英国民の大事な財産であり誇りです。ただ、それがこうじると、いささか高慢な印象を与えることも。
おなじみ石ノ森章太郎さんはマンガを「萬画」としました。つまり国境を越えた全人類のものとしたわけです。私も子どものころ「冒険王」などにお世話になりました。
それを裏付けるかのように、manga は anime(アニメ)とともに世界最大の英語辞典「オックスフォード英語辞典」(The Oxford English Dictionary)に収録されています。
それはそうとして「マンガ」を表す英語はおなじみ comics、そして cartoon(カートゥーン)です。cartoon は「(時事)風刺漫画」「(新聞などの)続き漫画」を意味することが多いですが。
大津幸一さん(大津 イングリッシュ・スタジオ主宰)