みちのくの夏は、人々が心一つに燃え上がる季節です。「まつり」は「祀る」の名詞形だと知りました。神に物を献上したり、祈りを捧げることを意味します。「祭り」の文字、そして「マツリ」という言葉の響きには、おごそかで、しっとり感があります。
「サマー・フェスティバル」より「夏祭り」の方が趣がありますよね。今回は、この「フェスティバル」(festival)について探ってみます。
festivus - このラテン語が、festival の源となった言葉です。意味は「楽しい」、つまり愉快なひととき「宴」が元々の語義なのです。
「フェスティバル」と似た言葉がラテン系の言語に見られます。スペイン語の「フィエスタ」(fiesta)、イタリア語の「フェスタ」(festa)など。
さらに「カーニバル」(carnival)。語源については諸説がありますが、carne vale(カールネ バーレ)「肉よ(carne)、さらば」という説がよく知られています。復活祭(イースター)の前にキリスト教徒は懺悔(ざんげ)をして肉を絶つ。その苦行の前に肉を食べ、お祭り騒ぎをする...「謝肉祭」と訳されているのは何となく分かります。
どことなくわが国の風習に似ていませんか。夏祭りは普通お盆前に行なわれます。盂蘭盆(うらぼん)は祖先の霊に祈りを捧げ、自らを顧みる厳粛な期間。その前にお祭りで美味しいものを心ゆくまで...。
夜店で焼き鳥を食べながら、人の営みというのは洋の東西を問わず同じなんだなぁと思ったしだいです。
大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)