ニューヨークの湾に浮かぶ「リバティ・アイランド」( Liberty Island )に立つ、「自由の女神」( Statue of Liberty = 自由の像 )は有名ですが、その近くの「エリス島」( Ellis Island )はご存じでしょうか?
19世紀後半から60年余りの間、ヨーロッパからの移民はこの島からアメリカへ入国しました。アメリカ合衆国移民局が置かれていて、厳しい審査を受けなければならなかったのです。
ここで思い出すのは、映画「ゴッドファーザー Part II」(アメリカ映画、1974年)の一場面。後にゴッドファーザーになる孤児ビィトーが、故郷シチリアから船でアメリカに渡る際に移民局で審査されます。
入国管理官が彼に" What's your name, son? "と名前を尋ねますが、英語ができないヴィトーは黙ってしまう。そばにいた係官が彼の名札から「ヴィトー・アンドリーニ、コルレオーネ村より」と答え、彼は「ヴィトー・コルレオーネ」として登録されます。
1200万~1700万もの人々がこの島を通過。アメリカ人の5人に2人が、エリス島を通ってきた移民を祖先に持つといわれるほどです。
移民たちによって「希望の島」( Island of Hope )とも呼ばれたこの島は、まさに「自由の国」アメリカの入り口でした。ヨーロッパをはじめ、さまざまな国から望みを抱いてやってきた人々...。多種多様な背景を持つ移民によって今日の合衆国が成り立っているのです。
ところが、これを否定するような動きが昨今のアメリカに起きています。
大津幸一さん(大津 イングリッシュ・スタジオ主宰)