【水戸一志 選/評】
◎揺れる女心と秋の空を詠んだ句ではあるまい。10月も夏日が続き、出し惜しみのような秋に渋々半袖を引っ張り出した。それで、夕方にはくしゃみ、鼻水のおまけ付きでは、秋のスタイルが決まらない。心乱れる外出前。鏡よ鏡、お前はどっちにする。
===
◎ 秋の空着てゆく服が決まらない (多賀城市八幡・佐藤久嘉)
新藁の匂い確かに「ひとめぼれ」 (石巻市桃生町・高橋冠)
大雨警報ネズミが先に避難所へ (東松島市矢本・川崎淑子)
台風の次は連休まご嵐 (石巻市蛇田・鈴木醉蝶)
菓子折りに金貨なぞとは何時代 (石巻市桃生町・北のから猫)
天高く網張っている消費税 (石巻市真野・麻糸)
ラシャイマセ名札カタカナお出迎え (石巻市開北・安住和利)
土をこね窯で生まれた猪口(ちょこ)美人 (東松島市赤井・片岡シュウジー)