メディアで連日のように伝えられる香港のデモ。何百万人という若者が集まり怒りの拳をあげる姿は、規模こそ違え「ベトナム戦争、反対!」などと叫びながら街を練り歩いたかつての学生運動を彷彿(ほうふつ)させます。
さて、テレビの映像でひときわ目立つのがレポーターのゼッケン、PRESS の文字。「ゼッケン」は「覆う」を意味するドイツ語" Decken "(デッケン)に由来するとのこと。英語では number cloth と表します。
ゼッケンに記された PRESS は日本語で表せば「報道」でしょう。そう言えば「プレスセンター」などでおなじみですね。
ご存じの通り、press は「押す」という意味の英語。これがどうして「報道」となるか?
TVやインターネットの普及とともに、新聞など紙ベースの媒体の影が薄い昨今ですが、報道の原点はやはり紙でしょう。印刷は、インクをつけた版を紙や布に「押し当てる(プレスする)」こと。7~8世紀に中国で始まり、日本にも伝来しました。そして、15世紀にはグーテンベルクが発明したとされる活版印刷が登場。
さて、「第一印象」は first impression(ファースト・インプレッション)。 impression は impress(印象づける)の名詞形。im- + press で、心にプレスするほどの感動ということでしょう。 " Impressive! "(インプレッシヴ!)は「すごい、素晴らしい!」を表す定番表現です。
大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)