暮れの30日、NHK/BS放送のコンサートに酔いしれました。ローリング・ストーンズ( The Rolling Stones )、エリック・クラプトン( Erich Clapton )、さらにはクイーン( Queen )と、私が愛してやまないブリテッシュ・ロックの大御所たちのステージです。クラプトンの会場は、全世界のアーティストが憧(あこが)れるロンドンの「ロイヤル・アルバート・ホール」( Royal Albert Hall )。
一方、ストーンズはキューバの首都ハバナ( Havana )の屋外。十数万人の群衆を飲み込む特設ステージです。曲が進むにつれて広場は熱狂の渦となりました。
The Rolling Stones(以下、R.Sと表記)を初めて知ったのは、50年前の東京・新橋のガード下です。当時、大学生の私は通訳のアルバイトに夢中。その日は、イギリス放送協会(BBC)のプロデューサーに付き添って都内を巡り、一日の終わりに居酒屋で乾杯となりました。杯を重ねるうち、話は「ビートルズ」のことに。当時はビートルズ旋風が吹き荒れ私も夢中でした。
" I love The Beatles. "と切り出す私に、彼は" Well, I like The Rolling Stones much better. "(僕はストーンズの方がだんぜん好きさ)。お洒落(しゃれ)で「坊ちゃん」タイプのビートルズに比べて、R.Sは不良でセクシーでワイルドな「ワル」のイメージ。プロデューサー氏はそのような飾らない彼らに魅力を感じたのでしょう。
さて、現在のR.Sのメンバーは72歳のロン・ウッドを除く他の3人が76~78歳の「後期高齢者」です。しかし、そのパフォーマンスは「嵐」顔負け。ミック・ジャガーなどは両手を高く上げながら舞台を縦横無尽に走り回ります。彼らから私はエネルギーをもらいました。
最後に諺(ことわざ)を。
" A rolling stone gathers no moss. "(転がる石は苔(こけ)むさず)
まさにR.Sには苔が生えていません。
大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)