石巻かほく「俳句」 2019年度最優秀賞に雫石昭一さん

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 「石巻かほく」俳句の2019年度最優秀賞と優秀賞が決まった。最優秀賞は東松島市矢本の雫石昭一さん(78)が選出された。優秀賞は石巻市桃生町の西條弘子さん(73)と同市小船越の芳賀正利さん(84)が選ばれた。選者の石母田星人氏が選考した。

■ 受賞者の声/雫石さん「震災を中心に」
20200318_128000.jpg 受賞の知らせに驚きました。東日本大震災で被災し、仮設住宅にいた頃に俳句を始めました。キャリアは5年足らずです。年に数回ある石母田星人先生の教室で勉強し、地元の仲間と1カ月に1回、句会を開いて批評し合っています。
 目に映ったり、ふと頭に浮かんだりしたことをそのまま詠んでいます。仮設住宅にいた時期、題材は震災が中心でした。今は前に進む思いを強くしています。

■ 選者から/石母田さん「地域に根差す」
 最優秀賞の雫石昭一さんは2度目の最優秀となった。この俳壇の創設以来4年間継続して投句してもらっている。本年度は地域に根差した力作が目立った。<万緑の岩を流るる鳥の唄><秋立つや被災の浜にアート咲く><ツールドの影どこまでも稲穂波><聖火待つブルーの翼春近し>など、しっかりと風土を詠(うた)うことで、季語に肉薄した具象的表現力に一段と磨きがかかった。
 優秀賞の西條弘子さんの本年度の句は、昨年までと違って、ものの根源的な把握に力点を置いた作品が多かった。<朝採りの曲り胡瓜にある自在><かたまつて白鳥の田と雁の田と><落ちてなほ紅あざやかや寒椿>などに引かれた。
 同じく優秀賞の芳賀正利さんは、発想が清新かつ柔軟で豊かな詩心を感じさせてくれた。<裏木戸は銀河鉄道春の駅><夏の月人形達の立話><風薫る赤子に確と土踏まず>などに注目した。