コラム:卒業

 " Nous sommes en guerre. "( We are at war. )「我々は戦争中」...フランスのマクロン大統領は3月16日の国民向けのテレビ演説で語気を強めこのような言葉を発しました。新型コロナウィルスは、今や「パンデミック」( pandemic )の様相を呈しています。

 19日、宮城県内の小学校で卒業式がありました。在校生や保護者の出席を見送るなど規模を縮小しての開催です。

 「卒業」は英語で graduation(グラデュエィション)。が、高校の授業で、先生から「アメリカでは commencement(コメンスメント)とも言う」、さらに続けて「 commencement とは『始まり』という意味」...これは衝撃的で今でも忘れることがありません。「学業」を「卒」つまり「終了」ではなく、「(これからに向けての)始まり」なのだという発想。

 一方、graduation は graduate(卒業する)の名詞形で、「等級、学年」を意味するおなじみ「グレード」grade と同系の言葉。そして一般に「卒業式」は graduation ceremony と言います。

 また、graduate には「(大学の学士号を得た)卒業生、大学院生」という意味も。

 映画「卒業」The Graduate(1967年、アメリカ)は、サイモン&ガーファンクル( Simon & Garfunkel )のテーマ曲とともに、青春映画の金字塔として知られています。The Graduate は「卒業」と訳されていますが、主役のダスティン・ホフマンの卒業後の日々を描いた映画ですから、「卒業生」が正しい訳でしょう。でも、タイトルとしては「卒業」の方がいいですね。

 Apple の創業者の一人で、今は亡きスティーブ・ジョブズ( Steve Jobs )が2005年米国・スタンフォード大学の卒業式でのスピーチの最後に語った言葉はあまりにも有名です。

 " Stay hungry, stay foolish "(ハングリーであれ、愚かであれ)

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)