【水戸一志 選/評】
五月の風に泳ぐ鯉のぼりは最も日本らしい光景の一つ。大きな親鯉の下で青い子鯉がじゃれつく姿は、家族の幸せを象徴するかのようだ。しかし、この句(◎)からは希望の裏に、東日本大震災で犠牲になった子どもたちへの慰めを感じる。「見えるかい」と。
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◎ みじかくも強くと青い鯉のぼり (石巻市築山・飯田駄骨)
通学路いまはジジババ歩く道 (東松島市野蒜ケ丘・雫石幸市)
ピカピカのままで待機のランドセル (東松島市赤井・秋田小桃)
ファーストレディあちこち跳んでし放題 (東松島市矢本・川崎淑子)
四十周年地域のニュースありがとう (石巻市蛇田・菅野勇)
お返しに手作りマスク送ります (東松島市矢本・遠藤恵子)
堂々とこれから鯨食べられる (石巻市桃生町・高橋冠)
今だから坂本九を歌いたい (石巻市あゆみ野・日野信吾)