5月25日、米国ミネソタ州ミネアポリス近郊でアフリカ系アメリカ人(以下、黒人と表記)男性ジョージ・フロイド氏が、" I can't breathe! "(呼吸ができない!)と懇願していたにもかかわらず、白人警官によって8分46秒も頸部を膝で強く押さえつけられ死亡した。
「アメリカという国は『人種のるつぼ』」と中高の授業で教わりました。「るつぼ」は英語で melting pot(メルティング・ポット)。つまり、米国は白人や黒人、ラテン系、東洋人など多種多様な人種や文化が溶け合い、交じり合って成立している社会だというわけです。
しかし近年、それぞれの文化が共存してはいるものの交じり合うことはないという意味から「サラダボウル」( salad bowl )などという表現が用いられるようになりました。現代では、アメリカ社会は「人種のサラダボウル」と称されることが多いのです。
ところが、現実のアメリカはどうでしょう? 「共存」とはほど遠く、一つの野菜が他を押しのけるような事件が続発。
2014年8月9日にミズーリ州ファーガソンにおいて18歳の黒人青年マイケル・ブラウンが白人警察官によって射殺され、全米を震撼させました。ご記憶の方もいるかと思います。
加えて、今年2月ジョージア州で黒人アフマド・アーベリーさんがジョギング中に元警察官に射殺された事件、そしてこのたびの事件と、白人それも警察官による黒人へのあからさまな迫害が次々と。
" I can't breathe! " 9分近くも頸部を踏みつけられながら息も絶え絶えに発せられたこの言葉が、事件の悲惨さを表しています。
breathe(ブリーズ)は「息をする」。名詞は breath(ブレス)で、音楽や水泳などで馴染んでいる方もおられるでしょう。
大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)
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