コラム:2人の女性(下) 米国大統領選

 前回に続いて、今回は対抗馬の民主党に現れたもう一人の女性について。

 大統領候補ジョー・バイデン( Joe Biden )が副大統領候補に指名したのが、カマラ・ハリス( Kamala Harris )上院議員。ジャマイカ出身の父とタミル系インド人の母を持つ移民2世。初の黒人副大統領候補であり、成り行きによっては米国史上初めての非白人系女性大統領になりうる人物として国内外の注目を集めています。

 受諾演説でハリス氏は女手ひとつで自分を育ててくれた母親について、次のようなことを述べました。

 " She raised us to be proud, strong Black women. And she raised us to know and be proud of our Indian heritage. "
 「母は私たち姉妹を誇り高き、たくましい黒人女性に育てました。インドの伝統を、誇りを持って受け継ぐ女性に」

 さらに、

 " And let's be clear -- there is no vaccine for racism. We've gotta do the work. "
 「はっきりさせておきましょう。人種差別に対するワクチンはないことを。私たちが行動するしかありません」

 そしてこう結びました。

 " In this election, we have a chance to change the course of history. We're all in this fight. You, me and Joe -- together. "
 「この選挙で私たちは歴史の流れを変えるチャンスを得たのです。私たち皆がこの戦いに臨むのです。皆さん、私、そしてジョー(バイデン)と...共に」

 共和党のニッキー・ヘイリーと民主党のカマラ・ハリス。それぞれ主張は違っても「アフリカ系アメリカ人」と呼ばれる、いわゆる黒人とは異なる背景を持つ女性が脚光を浴びるようになったことに、改めてアメリカ社会の多様性と底知れぬエネルギーの可能性を感じます。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)