コラム:新たな旅立ちー米国・新大統領(上)

 去る1月19日、次期大統領(President-Elect)バイデン氏は翌日の就任式を控えてワシントンに到着。新型コロナウイルスの犠牲者を追悼する式典に出席しました。

 就任式が行われる連邦議会を見通すリンカーン記念堂(Lincoln Memorial)で式は開催され、宵闇が迫る中、妻ジルさんやハリス次期副大統領夫妻らを伴い、氏はスピーチを。

 アメイジング・グレイス(Amazing Grace)を歌ったミシガン州の看護師ロリー・キー(Lori Key)に感謝し、こう語りました。

" If there are any angels in heaven, they're all nurses ..."
(天国に天使がいるとすれば、それは看護師の皆さんです)

 さらに

"... let us shine the lights in the darkness along the sacred pool of reflection and remember all those who we lost ..."
(... 暗闇の中で聖なる池に光を照らし、命を失ったすべての人を思い起こそう ...)

 それとともに、リンカーン記念堂前のナショナル・モール(National Mall)で、ワシントン記念塔に向かって長く長方形に伸びる人工池「リフレクティング・プール」(Reflecting Pool)の両側がライトアップ。新型コロナの犠牲者たちに捧げられました。

 思えば2016年9月、あの3.11で亡くなった米国人外国語指導助手(ALT)テイラー・アンダーソンさんの遺族が設立した基金(Taylor Anderson Memorial Fund)により、石巻専修大学の学生5名とこのリンカーン記念堂を訪れたのです。バイデン氏と同じ場所に立ってモールを眺めた記憶がよみがえってきます。卒業し社会人となった彼らも、この追悼式の映像をそれぞれの思いで見たことでしょう。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)