【水戸一志 選】
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駈け足で過ぎ行く日々の高齢化 石巻市大街道/岩出幹夫
【評】人が自らの高齢を意識するのは何歳ぐらいからだろう。その時から、1日、1ヵ月、1年が飛ぶように過ぎて行くことをまざまざと自覚する。この句は、老いた身の焦りを言い切った。若者を諭す光陰矢の如しとは異なる感情で、グッと来るものがる。
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春一番黄砂と競う杉花粉 石巻市不動町/新沼勝夫
銀行へ急げ夫の給料日 東松島市赤井/くどうさきこ
なぶら追いトト釣り上げた腕自慢 石巻市水押/阿部磨
愚痴を聞き反論もせぬ笑いじわ 石巻市桃生町/佐藤俊幸
人よりも利口なカラス腹が立つ 仙台市太白区/金野正郎
健康のための散歩が膝にくる 石巻市新館/高橋豊
日本にあってもいいな「女性の日」 石巻市あゆみ野/日野信吾