コラム:アジア系アメリカ人

 去る3月17日、米国ジョージア州アトランタ市にある3カ所のマッサージ店で、銃撃により合計8名が殺害されるという事件が発生。うち6名がアジア系アメリカ人で、逮捕された容疑者は21歳の白人男性とのこと。事件の全容や殺害動機は明らかになっていませんが、6名ものアジア系アメリカ人が犠牲者になったことから、「アジア系アメリカ人に対するヘイト・クライム」との報道が世界を駆け巡りました。

 「ヘイト・クライム」(hate crime)は「憎悪犯罪」などと和訳されていますが、「(人種・宗教間などの)憎しみから起きる犯罪」を意味します。

 同月20日(現地時間)、アトランタ市で大規模な抗議集会が開かれ、CNNやBBCをはじめテレビ局がその模様を伝えました。人々が掲げたプラカードに記されたのは " STOP ASIAN HATE "(アジア人に対する憎しみをやめよ)。

 英語ではアジア・太平洋諸島系アメリカ人(AAPI=Asian Americans and Pacific Islanders)などと表記。うち、2011年時点で中国系が23.2%を占めます。

 アジア系への差別を監視する団体によると、昨年3月以降、全米での暴力や嫌がらせの報告が2800件を超え、今年に入って暴力事件が深刻化していると指摘。中国系アメリカ人の被害が圧倒的に多いようです。比較的、貧しい人々が集団で China town を形成し、現地の人々と日常的に接する機会が多いためと言われています。

 日系人への hate crime は全体の6.9%(Stop AAPI HATE の調査)と少ないものの、同じアジア人としてこの問題に関心を抱かないではいられません。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)