中高生の20人に1人が、大人の代わりに家事や介護といった家族の世話を担っている...この4月に厚生労働省が発表した調査結果が波紋を呼んでいます。
私にとって初めて見聞きする「ヤングケアラー」というカタカナ語。これは英語の young carer に由来するものだろうと英語圏のメディアを検索したところ、イギリスの有力紙「ザ・タイムズ」(The Times)に次のような見出しで、自閉症の弟を介護する8歳の男の子の記事が載っていました。
The crisis of Britain's young carers : ' We rely on him like another parent'
英国のヤングケアラーたちの危機:「我々は彼にもう一人の親のように頼っている」(2021.4.21)
この young carer 、直訳すれば「若年介護人」?...どうも対応する日本語が見つかりません。care は「ケア」として日本語に定着していますが。
この care という英語は「介護」の他に、動詞も含め様々な意味で用いられます。思いつくままに用例を挙げてみましょう。
skin care
女性の間でお馴染みですが、この care は「手入れ」「世話」
Take care of yourself.
「あなた自身を世話しなさい」→健康に注意して
Care killed the cat.
諺(ことわざ)「世話しすぎて猫を殺した」→心配は身の毒
Take care.
「元気で」(別れる時の軽い挨拶)、
意味を強めて ' Take care! ' cried Alice.「気をつけて!」(ルイス・キャロル「鏡の国のアリス」)
Would you care for a drink?
「飲物はいかが?」(気にする→好む)
〽The morning fog may chill the air, I don't care.
「苦にならない」(霧が立ち込め空気が冷たいけれど)
(1962年トニー・ベネットのヒット曲「想い出のサンフランシスコ」"I Left My Heart in San Francisco"の一節)
大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)