目まぐるしく変化する現代社会。その流れに合わせるかのように言葉も簡略化しつつあります。ひと昔前に先陣を切ったのが「スマホ←スマートフォン」「コンビニ←コンビニエンス・ストア」など。近年では「デパ地下←デパート地下売り場」「コスパ←コストパフォーマンス」(費用対効果)などもありますね。
さて、最近出会った言葉に「カスハラ」があります。「カスタマー・ハラスメント」の略とのこと。英語由来の「ハラスメント」harassment は今ではすっかりお馴染(なじ)みになりました。「パワハラ」「モラハラ」「セクハラ」「アカハラ」など、その数30種類を越えます。
harass は「悩ます」「困らせる」を意味する動詞。名詞形の harassment は「いやがらせ」という日本語に当たります。一方、「カスタマー」customer は「お客」を表す名詞。お客から従業員への脅(おど)しや理不尽な苦情や要求などを「カスタマーハラスメント→カスハラ」と呼び、社会問題となっているのです。
custom という英語。海外旅行の経験のある人にはお馴染みでしょう。空港で CUSTOMS と大きく記されているのは「税関」。ここを無事通らなければ出入国はできません。
また、最近では「カスタマイズ」という言葉も流行(はや)っています。
He customized PC at that shop.
(彼はその店でパソコンをカスタマイズした)
「お客」customer が「自分の必要に応じて設定し直す」という意味です。
そうそう、custom が「慣習」「風習」も表す言葉として広く用いられていることもご存知でしょう。「お客」を意味する customer は「いつも買いに来てくれる人→お得意さん」ということですね。
大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)