コラム:コラボレーション

 「光の贈り物」「読者の思いライトアップ」...先月30日の本紙に、このような見出しの記事が載りました。美術家・高橋匡太(きょうた)さんの作品で、RAF(リボーンアート・フェスティバル)の夏期開催中に石ノ森萬画館の白い外壁をライトアップするとのこと。

 三陸河北新報社はRAF事務局とコラボレーションし、読者から色とエピソードを募集。当日のライトアップカラーとエピソードを紙面で紹介するという企画です。コロナ禍により、昨年に続き夏の風物詩「川開き祭り」が中止に追い込まれる中にあって、一筋の光明となる素晴らしいプロジェクトだと思います。

 さて、この「コラボレーション」という長い言葉、「コラボ」としてすっかりお馴染(なじ)みになりましたが、語の成り立ちを調べてみると、以外と面白いことが分かります。

 「コラボレーション」は英語の collaboration(名詞)に由来し、動詞は collaborate。co- は「一緒に」、labor はご存知「労働」で、collaborate は「一緒に働く」を指します。したがって、collaboration は「共同制作」「共同研究」などという和訳が与えられています。

 「働く/働き」と聞くと work さらには job という語を思い浮かべますが、それぞれどのような違いがあるのでしょう。

 まず、work は広い意味でやるべき「仕事」さらには「芸術作品」を意味し、job は具体的な1つの仕事で「職業」と和訳されます。それに対して labor はどちらかというと「苦しい仕事」、Concise Oxford Dictionary によれば ' work, especially hard physical work '(特に体を使うハードな仕事)とあり、「労働」という訳語がふさわしい場合が多いです。

 美術家の高橋氏および関係者の皆さんにとっては、力を合わせて「思い」をカタチにする work ではないでしょうか。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)