コラム:バリアフリー

 「議場バリアフリー徹底を」...去る8月25日、仙台市議会は新庁舎をめぐり基本設計に反映させるよう郡市長に申し入れた、と河北新報が伝えました。東京2020パラリンピック競技大会が佳境を迎えていますが、日常生活においても「バリアフリー」は国民の間で今や当然のことと受けとめられていると思います。

 「バリア」は「障壁」「障害」を意味する英語の barrier に由来する言葉。「フリー」free は「自由な」から転じて、「(束縛・制約が)無い」となります。つまり、「バリアフリー」barrier‐free を日本語で表せば「障壁が無い」。

 この言葉が広く知られるようになった切っ掛けは、1974年6月の国連・障害者生活環境専門家会議の報告書「バリアフリーデザイン」です。

 さて、barrier と free という英語について少し掘り下げてみましょう。

 まず barrier。この言葉の語源は「横木で作ったもの」を意味する古フランス語 barriere。これから派生した語は barricade(バリケード)や bar(横棒)です。このうち bar は「横棒の仕切りのあるところ」ということから、「(カウンター式の)バー、酒場」、さらには「被告席」「法廷」「法曹界」などの意味をも表すのは驚きです。

 一方、free は「(~から)解放された」から、「~が無い」。例えば、お馴染みなのは「免税店」 a duty free shop。「関税がかからない店」という意味です。また、「入場無料」は英語で Admission Free と表します。free は普通「自由な」と記憶しがちですが、以上のように「無い」という意味も知っておくと、次のような文も理解できるでしょう。

A bachelor's life is free from care.
独身生活は気楽だ。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)