コラム:ドローン

 ドローン。はじめは忍者のことかと思いました。幼い頃、霧隠才蔵などに扮して忍者ごっこをしていたものですから。

 とんでもない誤解でした。「ドローン」は英語で drone 。もともとはオスの蜂を指す言葉で、飛行する際にプロペラから出る「ブーン」という音が蜂が飛ぶ時の羽音に似ていることから名付けられたと言われています。正式名称は Unmanned Aerial Vehicle(UAV=小型無人飛行機)、つまり人が搭乗しない航空機のことです。

 オックスフォード英語辞典第2版によれば、1946年に初めて現れた語義として" a pilotless aircraft or missile directed by remote control "(遠隔操作による、操縦手の搭乗しない航空機ないし飛翔体)とあります。

 上空からの撮影に用いられる一方、メディアに登場するのは、しばしば軍事目的のものですね。つい最近では、アメリカ中央軍が先月29日、アフガニスタンのカブールで大量の爆薬が積まれていた可能性が高いとされる車両1台にこのドローンによる攻撃を実施。周囲にいた子ども3人が死亡したと伝えられています。

 兵士自らは安全な遠隔地にある基地でモニター画面を見ながら攻撃を加える、そしてピンポイントで狙ったはずが全く関係のない人々を巻き添えにしてしまう...何という卑劣な戦いか。憤りを覚えるのは私だけでしょうか。近代戦においては、このドローンのような兵器がますます使用されると言われています。

 忍者はそっと忍び寄っても、倒す相手とは命をかけて刃を交えます。そのような「人間的な」戦いはもう終わるのでしょうか。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)