コラム:バーコード

 「こちらのレジ空いていま~す」。買い物客の長い列に向かって、ひときわ高い声で叫ぶ店員の女性。列の後ろに並ぶ人の何人かが、そちらに移動します。向かう先は「セルフ・レジ」。そしてブースで無言で迎えるのは「バーコード」読み取り装置です。これは英語で barcode。本の裏表紙などでお馴染みでしたが、最近ではほとんど全ての商品に添付・印刷されています。

 bar は「(主に横)棒」ですが、code とは何でしょう?

 「コード」と言えば音楽では「和音」のことだし、「電線」も「コード」、さらに「ドレスコード」は「服装規定」のことです。まさに混線状態。

 「バーコード」の code は「規則」「規定」で、またコンピュータのデータ・命令などを符号で表現したものも「コード」と呼びます。同じような発音のため意味を取り違えがちなのが「和音」を表す「コード」、こちらは chord と綴ります。また「電線」は cord です。

 話を「バーコード」の code に戻しましょう。

 映画が大好きな筆者にとって、code と言えば第二次世界大戦でナチスが用いた「エニグマ(謎)」( Enigma )と名付けられた暗号機。これを入手し解読しようと、連合軍がドイツ軍と虚々実々の戦いを展開します。たとえば映画『U-571』(米国、2000年)など。また、「チャイカ(カモメ)」と言えば世界初の女性宇宙飛行士ワレンチナ・テレシコワのこと。このように秘密にしたいとか交信の円滑化のために付けられる名をコードネーム( codename )と呼びます。

 そう言えば、一世を風靡したジェームズ・ボンドに付けられた007(英語では通常「ダブル・オー・セブン」と発音)はコードネームあるいはコードナンバーですね。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)