【水戸一志 選】
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ゆっくりと耳を洗って来年も 石巻市あゆみ野/日野信吾
【評】年の暮れに川柳人が耳を洗う。この句から何が見えるか。まず浮かぶのは、マスクを支え続けた耳への労い。文句も言わず、よく耐えてくれた。次は、人々の本音を聞きとる川柳の耳だ。喜び、哀しみ、声援すべてネタにする。まさに、来年も。
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赤木さんこの有りさまが悲しいよ 東松島市大塩/小野よし
ドンドンとドンの疑惑が世を走る 石巻市須江/田代文男
星空に曽孫の入試祈るとは 石巻市新栄/堀内ひろ子
佐須浜のほまれサンファン姿なし 石巻市渡波/阿部昭壽
俺の番子持ちナメタが見栄を切る 石巻市水押/阿部磨
もったいない牛の年賀で投句する 東松島市あおい/添田潤
右往左往年末迫る給付金 石巻市不動町/青沼敬次郎