俳句(1/30掲載)

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【石母田星人 選】

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初空の上昇気流鷹をのせ   石巻市小船越/芳賀正利

【評】鷹は気流をつかまえて上空へ昇り、その頂点から滑空して次の上昇気流に乗る。こうして長距離を飛ぶ。初空にエネルギッシュな鷹の姿。縁起がいい。

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被災地の復興花火春隣   石巻市渡波町/小林照子

【評】午前0時に始まった年越しの花火。華やかなスターマインなどが新年の空を彩った。厳しい寒さの隣には必ず春がいる。季語「春隣」に希望が見える。

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初春や空に溢れし曲飛行   東松島市矢本/雫石昭一

【評】「ブルーインパルス」飛行初め。訓練空域に飛び立つ姿だろう。次々と滑走路を離れジェット音をとどろかせるさまを「空に溢れし」と巧みに捉えた。

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笹蒲に平和な海を噛みしめる   多賀城市八幡/佐藤久嘉

正月のま白に晒すわが身かな   石巻市開北/星ゆき

農始白菜ひとつ収穫す   東松島市矢本/奥田和衛

画仙紙の一画の置く吉書かな   石巻市丸井戸/水上孝子

十代の指やはらかしお年玉   石巻市小船越/三浦ときわ

初東風や水平線の真直ぐに   仙台市青葉区/狩野好子

機中より七日の富士山を拝しけり   石巻市桃生町/西條弘子

冬ぬくし水琴窟の音の数   石巻市相野谷/山崎正子

正月や土俗奇祭の名振浜   石巻市蛇田/高橋牛歩

アンバサンほっぺのヘソビよく似合う   石巻市吉野町/伊藤春夫

曲り木の梁を見上げて獅子頭   石巻市元倉/小山英智

億年の春を埋めたる鳥取砂丘   石巻市蛇田/石の森市朗

初日の出時計まわりの風車五基   石巻市二子/北條孝子

松の内とけて陽ざしの尖りゆく   東松島市矢本/川崎淑子

舞扇音揃ひゆく初稽古   石巻市流留/大槻洋子

冬鳥や船上で弾くアコーディオン   石巻市中里/川下光子

子や孫の去りて二人の松納   石巻市広渕/鹿野勝幸

息白し山里なべて鎮まりぬ   石巻市駅前北通り/小野正雄

燗酒に恵比寿のやうな顔となり   石巻市門脇/佐々木一夫

松島の雪乱れ散る海の面   東松島市矢本/菅原れい子

虎落笛聞けばうつろに若き海   石巻市駅前北通り/津田調作

朝まだきシルエット濃く山眠る   石巻市新館/高橋豊