石巻かほく「俳句」 2021年度最優秀賞に芳賀正利さん

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 2021年度の「石巻かほく」俳句の最優秀賞が石巻市小船越の芳賀正利さん(87)、優秀賞が石巻市広渕の鹿野勝幸さん(82)と石巻市相野谷の山崎正子さん(88)に決まった。選者の石母田星人氏が選考した。

受賞者の声芳賀さん「今後も自然体で」
 最優秀賞は初めての受賞です。聞いて驚きました。
 現役時代の職場で一緒だった大和小舟さんの影響を受け、独学で作句を始めて二十数年になります。読書や散歩中に思いついた言葉を残しておき、後で結びます。投句前に最低3回は校正します。
 忘れた頃に言葉を思い出し、ペンが進んで完成する。俳句の魅力です。これからも気負わず、自然体で週1回の投句を続けます。

選者から石母田さん「季語もつ象徴力に目向く」
 本年度の俳壇の特徴は投句者数の大幅増。没には惜しい句が多く、1月から入選枠を広げてもらった。6回目となる年度賞。今回も年間通して投句していただいた人の中から選んだ。
 最優秀賞の芳賀正利さんは、本年度も清新かつ柔軟な発想で豊かな詩心を見せてくれた。特に本年度は季語のもつ象徴力に目を向けて作品のイメージを膨らませた句が光った。<嘶きに嘶き返す霧の中><穭田の闇に佇ちゐる捨案山子><夏の月惑星すべて宙に浮く>などに注目した。
 優秀賞の鹿野勝幸さんが願うのは戦争のない世界。<樺太の飢えの記憶や終戦日><戦なき七十七年初御空>。戦後生まれが8割となった今、折に触れて貴重な戦争体験を詠んでくれる作者には頭が下がる。
 同じく優秀賞の山崎正子さん。目の前の風景を大きな空間として感受することが巧みで、奥行きある作風が魅力的な作者。本年度は<山々の谺を奪ふ春の雪><蛸壺を鳴らしてゐたる桜東風>などが光った。