コラム:シャッター通り

 「生まれ変わるシャッター通り」...去る4月3日付・河北新報のトップ記事が目に飛び込んできました。「シャッター通り」は珍しくありません。このご時世、どこの町にもあります。

 私の目を釘付けにしたのは、写真とともに記された「栗原市六日町通り」。亡き父の実家が栗原郡岩ケ崎であり、小さい頃からこの町には馴染みが深いのです。いまは亡き栗原電鉄の小さい駅を降りると決まって通るは六日町。懐かしさで一杯になりました。

 さて、「シャッター」は英語の shutter に由来することは間違いないとしても、あのガラガラ音を立てて開閉する扉のことを shutter と言うのだろうか、そして「シャッター通り」は文字通り"shutter street"と表すのだろうか。せんさく好きの筆者はそんな素朴な疑問の犠牲になってしまいました。

 辞書をはじめ様々な文献に当たってみたところ、はっきりしたのは、あの音を立てて店を閉めたり開けたりするものを shutter ということ、カメラの「シャッター」も同じです。

 さて、欧米のうちアメリカでは1970年代にモータリゼーションの影響で駅前商店街が壊滅的な被害に遭い、町全体が無くなるという「ゴースト・タウン」化が進んだようです。そこへ行くと「シャッター通り」は独特のものと言えます。見栄えは良くありませんでしたが「再生」の可能性を秘めていますから。

 あえて英訳すれば次のようになるでしょう。

 shutter street, or street with many closed-down shops or offices
(シャッター通り。つまり多くの閉店した店や会社が立ち並ぶ通り)

 再生を模索する栗原市六日町通り商店街にエールを送りたいと思います。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)