コラム:「ブランド」考

 「彼女ったらブランドものがお好きなようで、バッグも国産品には目もくれず GUCCI で」。耳にしそうなセリフですね。けれどもこの「ブランド」、私たちはあまり知らないで使っているように思われます。

 「ブランド」(英語で brand )は「焼印(やきいん)をつける」を意味する中世英語に由来するようです(研究社・英語語源辞典)。放牧している家畜に自らの所有物であることを明らかにするために自家製の焼印を押したのではないでしょうか。

 名前やシンボルなどにより、他社の製品・サービスに比べて顧客にアピールすることが「ブランド」のねらいです。

 たとえば...
  iPhone is a brand that everyone knows.
 (アイフォーンはみんなが知っているブランドだ)

 また、いわゆる高級品については luxury brand と呼ばれます。

 「真新しい」を意味する英語 brand-new は「焼印を押したばかりの」という意味です。

  She looks good in her brand-new blouse.
 (真新しいブラウスを着た彼女はかっこいい)

  Charlie is satisfied with his brand-new car.
 (チャーリーは買ったばかりの車に満足している)

 new との違いは「新しい」と「真新しい」との違いと言えるかも知れません。
  a new watch「新型の時計」(これまでになかった、初めて現れた)
  a brand-new watch「新しい時計」(購入したばかりで新品、真新しい)

 多くの luxury brand(s) を持ったり下げたりして自分の社会的地位を高く見せたくなるのは世の常。でも「焼印」を押すことに由来するとなると、興醒めしてしまうのも真実かも知れません。皆さんは「ブランド品派」それとも高級品には無関心の「堅実派」?

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)