【水戸一志 選】
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ほどほどの野心ならある常備薬 東松島市矢本/菅原れい子
【評】小道具を上手に使った句として、紹介する。ほどほどの野心を抱いているのは人。つまり作者には相応の意欲があるが、それほど大胆不敵なものではない。例えて言えば、守り神の常備薬に似ている。常備薬は、作品の意図を象徴する小道具である。
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値上げ品オラもオラもと立ち上がる 石巻市三ツ股/和田文夫
面汚し三年だけの自衛官 東松島市あおい/添田潤
新ジャガの不揃いなれど味は良し 石巻市水押/小山信吾
古女房主治医のごとくあれこれと 石巻市蛇田/菅野勇
寝返りを打って明るい夢にする 多賀城市八幡/佐藤久嘉
我が頭脳持続可能でありますか 石巻市開北/安住和利
心太(ところてん)胸のつかえも一突きに 石巻市吉野町/伊藤春夫