コラム:「リモート」に思う

 去る4月2日、NHK・BSプレミアムの「復活!若大将~加山雄三~音楽を愛して」を観ました。加山さんと同じ小・中学校出身の友人の勧めもあってのことですが、この番組に魅せられたのは外でもありません。病に負けることなく「リハビリ」を通して社会復帰を果たそうとする姿に共感したからです。

 番組の中で加山さんがタブレットで何やら取り組んでいるシーンが。言語の訓練とのこと。居間に居ながらにして発音などのリハビリができる...まさに文明の利器を駆使しての取り組みに感銘を受けた次第です。それは「リモートだよ」と友人が解説してくれました。

「リモート」は英語の remote に由来し、この言葉は高校3年で習った記憶があります。今ではすっかりお馴染みになりました。「リモコン」(=リモートコントローラー)、「リモートワーク」そして今や「リモート飲み会」「リモート帰省」などの言葉が一般に出回っています。

 remote は「取り去る」「無視する」を意味するラテン語の removere から派生した語です。movere(動かす)に、「逆方向へ」「反対して」を示す接頭辞re-が付いて「距離が遠い」「文明から隔絶した」など離れた状態を表すようになりました。

 世界的な流行となった新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響によって、人々の社会活動は大きな影響を受け、これまでになかった新しい行動様式が発生したことはご承知のとおりです。

 ただ、コロナ終息後も人と人とのやり取りが「リモート」になることには抵抗があります。人は本来ダイレクトにつながるべきです。僕の考えは保守的でしょうか?

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)