コラム:「花火」を英語では

 夏の夜を彩る花火。わが石巻では川開き祭りのメイン・イベントとして花火大会は欠かせないものです。祭りは新型コロナウイルスの影響で2020年から2年連続で中止しており、3年ぶりの開催となります。記念すべき第1回目は1916年、町の繁栄のために石巻の港を開いた川村孫兵衛重吉翁に対する報恩感謝祭として行われました。

 有名な新潟・長岡の花火大会は、先の大戦での犠牲者の弔いを目的にするとのこと。花火には単に夜空を彩るだけではなく、今を生きる私たちの「思い」が込められるようです。

 私は住吉町の「川っぷち」で生まれました。小さい頃から川開きの花火はお馴染みで、大きな音に耳を塞ぎながら見上げたものです。川べりの道にゴザを敷いてたのが「観覧席」で、どこの家でも一族郎党が集って眺めました。

 さて、「花火」を表す英語は何でしょう。

 代表的なのは二つ。 firecracker と fireworks です。前者は crack(クラック=弾ける)するものという意味ですから「爆竹」の類(たぐい)と言えます。 fireworks は「仕掛け花火」という日本語にぴったり。花火大会などで目にするのは fireworks の方でしょう。

 子供の頃、大会のトリは北上川に架かる橋いっぱいに仕掛けられた花火、名付けて「ナイアガラの滝」。次から次と火が川面を渡ってゆくさまに思わず歓声が上がったものです。

 最近、「スターマイン」が仕掛け花火の主流になってきましたが、この「マイン」が門外漢の私にはどうしても特定できません。仮に英語だとすると浮かぶのはただ一つ、 mine(=機雷、地雷)です。

 「ドンと鳴った花火だ きれいだな」と口ずさむ一方で、仕掛けの大変さに思いをはせる今日この頃です。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)