コラム:「猫々犬々」の不思議

五月雨をあつめてはやし最上川

 先日の大雨での被害が報じられるたび、その甚大さに驚くとともに芭蕉のこの名句が浮かんできました。初案は「あつめてすずし」でしたが、急流の川下りを体験して、「すずし」を「はやし」に改め、最上川の豪壮さ激しさを表したということです。

 線状降水帯( linear rainband )による未曾有の雨。TVに映し出された最上川はさながら一匹の龍のように暴れています。「あつめてはやし」どころではありません。「日本は急流が多い。脊柱にあたる山脈が海に迫り、降水が一気に流れ落ちるから」といった小さいころ学校で習ったことを思い出しました。

 「雨」は英語で rain 。色々な表現がありますが、よく使われるのは" rain or shine "です。「雨が降っても太陽が出ても」で、日本語の「降っても照っても」でしょう。

 「天候にかかわらず、かならず」という意味で、
   The game will be held rain or shine.
  (試合は晴雨を問わず行われます)
が例文です。

 ただ、どうしても分からないものもあります。
  It rained cats and dogs.
「どしゃ降りだった」という意味で、面白い表現だと受験勉強もかねて理屈抜きで覚えたのですが、今になって思い起こしてみると、なぜ「猫々犬々」がそのような意味になるのか不思議でしょうがありません。慣用表現というものに「なぜ?」は禁物かもしれませんが、どういう由来か知りたいのです。

 一説によると、猫が「雨のシンボル」、犬が「風のシンボル」と言われていて、船乗りにとっては大雨の象徴だったとか。また、古びた表現なので、今では使うことがないとも聞きます。

 イギリスやアメリカの友人に実際はどうなのか尋ねてみましょう。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)