コラム:風邪とインフルエンザ

 " I have a cold. " 「風邪を引いた。」
 " That's too bad. I hope you'll get well soon. " 「お気の毒さま。早く良くなるといいね。」

 ご記憶にあるでしょう。中学で習った英会話の定番表現です。

 この cold の正確な意味は何でしょう。新型コロナの感染が拡大している今、特に神経質になってしまうのです。辞書にはこうあります。「かぜ 感冒」(新英和大辞典第六版 研究社)。

 さらに「感冒」を調べてみると「身体を寒気にさらしたり濡れたまま放置したときに起こる呼吸器系の炎症性疾患の総称。アデノ-ウイルス・コロナ-ウイルス・ライノ-ウイルスなどが鼻腔・咽頭・喉頭などに感染することによる」(広辞苑第7版)。

 COVID-19は「『新型』コロナ」と呼ぶことからすれば「風邪」の一種と考えられます。 have a cold と表現していいかもしれません。ただ、実際には be infected with ~(~に感染する) を用いて、 The person is infected with COVID-19. と表します。

 また、小説などを読んでいると、よく目にするのは flu という言葉です。文脈から風邪らしいのは分かるのですが、頻繁に出てくるので辞書を引いてみました。「ウイルスによる呼吸器疾患」《1839》《短縮》←influenza とあります(新英和大辞典第六版 研究社)。

 influenza と似た言葉をご存知でしょう。「影響(を及ぼす)」という意味の influence です。調べてみると influenza はイタリア語で、 influence と同起源。< in + flow >「流れ入る」が語源とのこと。

 近頃流行っている「インフルエンサー」という言葉は influencer で、テレビタレント、ファッションモデル、専門家など世間や人の思考・行動に大きな影響を与える人物のことを指します。

 大変な世の中になったものですね。ふと「一隅を照らす」という言葉を思い出しました。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)