コラム:米語と英語(上) サッカーとフットボール

 サッカー( soccer )の正式名称は association football(アソシエーション・フットボール)。直訳すれば「協会式フットボール」で、association の soc(仲間)に「c」を加え、人を意味する「er」をつけた造語。1880年代に使われ始めたといわれます。

 19世紀にイングランドのパブリック・スクールで生まれたのが football 。当時は学校ごとにルールが違い、他チームと試合するのも難しかったため、関係者が協会を作ってルールを整備し、統一したことから、「アソシエーション(協会式)・フットボール」と呼ばれるようになったのです。

 さて、歴史の必然からか、英語がイギリスからアメリカに渡ると、「本家本元」を譲らない英国と合理的とも言えるアメリカの言葉の違いが明らかになったことはご承知の通りです。

 まず、単語の違い。主なものをあげてみます。

 アパート: apartment(米)/ flat(英)。かつて英国人の翻訳を手伝ったことがあります。中学時代、アパートは apartment houseと習った私には、flat はどうも馴染みの薄いもの。しかし、しだいに flat に慣れ親しんでいきました。

 秋: fall(米)/ autumn(英)。アメリカ合衆国の音楽家ジョージ・ウインストン( George Winston、1949-)のピアノに魅せられ購入したCDのジャケットには「 Autumn 」と記されていました。アメリカでも格調を重んじる場合にはイギリス英語を用いることがあるんだと思った次第です。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)