コラム:イルミネーション

 「光」が今回のテーマですが、私は「一隅を照らす」というフレーズを気に入っています。煌々とした光であっても全てを照らさなくていい、片隅の日が当たらないところにささやかな温もりを。

 「一隅を照らす」を英語でどう表すか調べてみました。この言葉は平安時代の僧で天台宗の開祖『最澄』が著した山家学生式(さんげがくしょうしき)の冒頭にある一節で、「片隅の、誰も注目しない物事に、きちんと取り組む人こそ尊い人である」という意味です。 LIGHTING up a corner が無難な英訳だと思われます。

 クリスマスを含めて年末は光であふれています。町から個人の家まで「イルミネーション」。この節電の世に昼間から煌々と明かりを灯すとはもったいない、と思うのは歳をとった証拠。今の世はLEDの時代です。LEDは「発光ダイオード」( Light Emitting Diode )。構造が簡単なため大量生産が可能。赤色LEDで1個5~10円程度と安価に抑えられます。白熱電球と違い、LEDはフィラメントを使わないため軽量で衝撃に強く長寿命であり、電球のように衝撃が原因で破壊される頻度も低いなどのメリットがあります。

 上京のたびにお世話になる新宿ルミネの「ルミネ」について調べてみました。フランス語のルミナール(輝く)と英語のイルミネーション(明かり)を由来とするとあります。

 イルミネーションが出てきました。illumination という長い語。動詞形は illuminate 、light (明かりを灯す)とほぼ同じ意味です。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)