コラム:マスク

 政府は3月13日から屋内・屋外を問わず個人の判断に委ねるとした上で、医療機関を受診する際や通勤ラッシュ時といった混雑した電車やバスに乗る際などには、マスクの着用を推奨するなどとした方針を決定しました。さらに学校教育の現場では、新学期となる4月1日から着用を求めないことを基本とするほか、それに先だって行われる卒業式は児童・生徒などは着用せずに出席することを基本とするとしています。

 でも現実にはマスクを外せない人とそうでない人に日本は二つに別れ、それぞれに言い分があるようです。

 欧米を旅しているときに、マスクをしている人を見かけることはほとんどありません。一方、日本では夏でも多く見かけます。朝の散歩でご夫婦がそろって帽子にマスクというのも珍しくありません。

 さて、「マスク」は英語で mask とつづりますが、この言葉が女性の皆さまお馴染みの「マスカラ」 mascara と関係が?

 この mascara は「覆う」という意味のイタリア語「 maschera (マスケラ)」が語源。「覆う」は「隠す」ことにつながります。そうすると、思い起こすのが「マスカレード」 masquerade 。すなわち「仮面」「仮面舞踏会」、時には「見せかけ」「偽り」を意味する言葉です。女性の皆さん、マスカラで何をお見せになるのでしょう?

 私の手元には佐伯祐三の絵はがきが何枚かあります。熱烈なファンではありませんがなぜか彼の絵に惹かれるのです。パリの街を描き若干30歳でパリで命を散らした...彼のような人間にとって「右にならえ」の日本の風土は生きづらかったのではと思ってしまいます。

 東京ステーション・ギャラリーで彼の展覧会が開かれています。できるならば飛んでいって彼の作品にじかに触れたいと思う今日このごろです。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)