石巻かほく「短歌」 2022年度最優秀賞に、ゆきさん

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 2022年度の「石巻かほく」短歌欄の最優秀賞と優秀賞が決まった。最優秀賞は石巻市開北のゆきさん(71)=筆名=、優秀賞は石巻市駅前北通りの津田調作さん(92)と石巻市水押の佐藤洋子さん(57)がそれぞれ選ばれた。選者の斉藤梢氏が選考した。

受賞者の声ゆきさん「毎日の発見、着想に」
 初めての受賞です。選んでいただいて光栄です。斉藤先生には感謝の思いでいっぱいです。
 短歌は6年ほど前に始めました。毎週3首の投稿を続けています。娘夫婦、孫2人との暮らしで毎日のように発見があり、歌を作るモチーフが尽きません。
 気持ちを素直に出せるところが短歌の魅力です。年を重ねるうち、人に生かされているという思いが強いです。感謝を込めて詠み続けていきたいです。

選者から斉藤さん「感じたことを大切に表現」
 最優秀賞はゆきさんの昨年11月13日掲載の作品<透きとほる風に銀色(しろがね)しならせてとんぼは野辺に秋放ちをり>。
 とんぼの姿を丁寧に描写した「銀色(しろがね)しならせて」に惹かれる。透きとおる秋の風の中を飛ぶとんぼが野辺に放つ秋。「秋放ちをり」と感じる作者の小さな命を見つめる清いまなざし。感じたことを大切にして、的確な言葉を与えている表現力ある一首だと思う。
 優秀賞は津田調作さんの<ネジ花の天辺に登り戻る蟻吾はもどれぬ明日に生きねば>。ネジ花の小さな花をなぞるように登り下りする蟻を見ながら、自分の裡を見つめる作者。「明日に生きねば」に知る生きる姿勢。
 同じく優秀賞は佐藤洋子さんの<停戦を求める声は届かない何もできない犠牲の数に>。4月17日掲載の歌。戦争の現況を知り、表現せずにはいられなかったのだろう。一途な言葉は真っ直ぐに読者に届く。