コラム:卒業式と入学式

 だいぶ前になってしまいましたが、3月、4月は「別れと出会い」の季節。とりわけ入学式は新たな友をつくるきっかけとなります。

 英語で「入学式」は entrance ceremony といいます。厳しい「受験戦争」を勝ち抜いた結果の晴れ舞台... examination hell 大げさですが「受験地獄」のことを英語ではこう言い表します...韓国の場合はもっと凄いようです。なにせどこの大学に入るかで将来の就職先まで決まってしまうのですから。

 大学は卒業するのが大変とよく言われる英米では卒業式が重んじられるようです。映画でも有名になり大学の授業でも取り上げている「 Love Story (ある愛の詩)」では卒業の喜びが大きなクライマックスになっています。

 卒業式にはスピーチがつきもの。よく知られているのは Steve Jobs が2005年にカリフォルニアの名門 Stanford University で行なった演説です。

 Stay Hungry, Stay Foolish
 (ハングリーであれ、愚かであれ)

 Thank you. で始まるスピーチはけっこう長く、失敗も含めて自身の生涯を包み隠さず語ったあと、このように締めくくりました。Jobs だからこそ説得力のある言葉であると思います。しかも、この時彼は自分が癌(がん)であることを知っていたのです。

 commencement ...アメリカ合衆国では卒業式のことをこう呼びます。 commence とは「始まる」という意味。大学は終点ではない、出てからが本当の勝負というアメリカらしい発想に驚いてしまいます。