歳のせいでしょうか。最近、杖(つえ)の世話になることが多くなりました。「身の回りのものを英語で言ってみよう」と学生諸君に話してきた手前、杖を英語で何と表すかが今の私の課題です。
杖とは何か...真っ先に浮かぶのはこの言葉です。「転ばぬ先の杖」。これの英訳を見てみましょう。
a walking stick before stumbling
「杖」は a walking stick 、これは stick for walking と解釈できます。
また、「待合室」のそばには英語で waiting room と書かれています。これは room for waiting ですね。
では、教科書にあった He is a walking dictionary.(彼は歩く辞書=何でも知っている)の walking はどうでしょう。 a dictionary for walking では変です。同じ -ing 形でも違いがあります。
a barking dog (吠えている犬)、 The dog is barking.ということですね。
ところが、次の文章は不自然です。
I have a barking dog.(私は吠える犬を飼っています)
これは無いわけではありませんが。
ところが、次の文はありえます。
He was frightened of the barking dog.(彼はその吠える犬におびえた)
a walking dictionary の walking は dictionary を修飾する形容詞。ところが同じ ing形でも waiting room の waiting は「待つこと」という名詞の意味を帯びる次第です。
以上のように、動詞の ing形は別々な意味を表すので、前後の言葉をよく判断しなければいけません。 ing形に遭遇したら注意する必要がありますね。
大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)