まず思ったことがあります。江戸時代ごろまではカバンがなかった...人々は手荷物を風呂敷に入れて持ち運んだ。カバンというのは文明開花の産物に違いありません。
手に持って歩くものは一般的に handbag と言います。女性が持ち歩く肩ひものないものは purse 。この purse には「財布・がま口」という意味があります。
はるか昔、イギリスのRSC( Royal Shakespeare Company /王立シェークスピア劇団)が初めて日本公演を行った時、通訳の仕事をしましたが、その時の演目が Othello (オセロ)でした。冒頭、悪役イアゴーが金持ちの貴族に言う言葉が今だに忘れられません。
Put money in the purse.
(財布に金を入れておけ)
最近、耳にしたものに「トートバッグ」があります。「 to ‐ te bag 」。間口がバッグの上にある角型のバッグのこと。元々は、キャンプなどで水を運ぶための丈夫な手提げ袋を言います。
よほどの事情がない限りカバンを持ち歩くことはないでしょう。そこで「ナップザック」の登場。元々は軍隊や学生が背負っていたものですが、今やよく見かけます。この「ザック」は Sack で、「リュックサック」というドイツ語から由来するとのこと。
文明の進化と共にカバンもさまざまな形に。人間の営みと共にありますね。
大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)