投稿より 「息子よ、会いに来てよ」

 亡き息子へ
 たまには、流れ星に乗って会いに来てよ! 娘2人はステキな彼と結婚し、ママも元気にしているから安心して。ばあばの私も81歳。何とか元気で生きているから...。

 昨夏、入居している介護老人保健施設の七夕飾りの短冊にこう書いた。

 息子はトラック野郎で全国を走り回っていた。ある頃からギャンブル依存症になり、荷を積んだままパチンコに夢中になることが多くなった。会社から何度も連絡が来た。借金で苦しむようになった。周りの忠告に耳を貸すことはなく、私は本人が自覚して反省するのを待った。ママには迷惑をかけるので離婚してくれと頼んだ。

 しばらく音沙汰なかったが、3年前、ひょっこり私としゅうとめが住む施設へ面会に来た。依存症のころとは表情がまるで違って正気の顔になっていた。野球帽をかぶっていたので「部屋では帽子を取ったら」と言ったら、円形脱毛症だった。体調を崩しているんだとすぐ分かった。

 「ばんちゃんと2人で、何か、うまい物でも食べて」。封筒に入れたお金を置いて帰って行った。

 数カ月後、息子は自分が買った家で脳梗塞で亡くなった。50歳だった。

 未熟児で生まれ中学まで小児科に通院していた。柔道に励むようになって元気になった。トラックの仕事は何が起こるか分からないので、県民共済に加入してやっていたのが最後に役立ったようだ。

 私は左目が見えず、苦労は多い。それでも息子はママと孫娘2人の宝物を残してくれた。孫たちは「ばあちゃん元気?」といろいろ差し入れを届けに面会に来てくれる。うれしいし、何より癒やされる。

(稲辺愛子 82歳 無職 栗原市瀬峰新田沢)

 「愛の物語」応募は、字数が1面「つつじ野」と同じ700字と、原稿用紙1枚の400字の2種類から選ぶ。書式は自由で、メールと郵便で受け付ける。優秀作は朗読会=2月17日(土)午後2時、かほくホール=で紹介する。
 随想に題を付け、住所、氏名、年齢、職業、連絡先の電話番号を明記する。郵送先は〒986-0827 石巻市千石町4-42 三陸河北新報社総務部「愛の物語」係。メールはmt.kanno@sanrikukahoku.jp 連絡先は0225(96)0321の「愛の物語」係。