投稿より 「今が一番幸せ」

 元日に石川県能登半島で起きた地震で東日本大震災を思い出しました。テレビの映像に驚くばかり。13年前、大震災の惨状を全国の人たちがくぎ付けになって見ていたんでしょう。当時を思い出し、涙が出ます。年のせいか、何事にも涙腺が緩みます。

 石川県の内灘町に夫の妹、金沢市にはめいが住んでいます。2家族とも自宅で暮らすことができているとのこと。一安心です。落ち着いたら、宅配便が動いたら石巻の名品を送るからねとメールしました。これくらいのことしかできません。

 大震災時は東松島市東名で酒やコメなどの商店を営んでいました。夫と長男は避難所の運営を手伝うために車で向かい、津波の犠牲になりました。

 半年後、次男家族と同居することができ、孫2人を見守りながら現在に至っています。保育所の年中と年少だった孫の姉弟と息子夫婦のためにも、この先10年は元気で丈夫で頑張らなければ、と67歳の自分を奮い立たせたことを思い出します。

 孫たちは小・中学校と元気に過ごし、高校生になりました。あっという間です。姉は春から3年間、仙台市医師会の看護学校へ進みます。子どもの成長には本当に驚きです。息子たちも一生懸命に働き、家族を思ってくれる気持ちが何よりです。姉の孫は去年9月ごろから私の部屋で寝ています。「ばあちゃんはもう80歳だから、夜中に何かあったら大変だから」とうれしいことを言ってくれます。夜中にばあちゃんの方が布団を何回か直してやります。それはそれで、ばあちゃんが幸せを感じる時です。

 皆がそれぞれ元気に出て行けば、ばあちゃんは1人で部屋の掃除、洗濯を済ませて新聞をゆっくり読み、コーヒーを飲んで、おやつを食べて楽をさせてもらっています。

 人生、今が一番幸せと思うこのごろです。

(後藤照子 80歳 無職 東松島市新東名)

 「愛の物語」応募は、字数が1面「つつじ野」と同じ700字と、原稿用紙1枚の400字の2種類から選ぶ。書式は自由で、メールと郵便で受け付ける。優秀作は朗読会=2月17日(土)午後2時、かほくホール=で紹介する。
 随想に題を付け、住所、氏名、年齢、職業、連絡先の電話番号を明記する。郵送先は〒986-0827 石巻市千石町4-42 三陸河北新報社総務部「愛の物語」係。メールはmt.kanno@sanrikukahoku.jp 連絡先は0225(96)0321の「愛の物語」係。