投稿より 「祖母のように」

 私の祖母を一言で表すならば、「料理上手な人」だと思う。調理師免許を持っており、さまざまな料理を振る舞ってくれた。中でもかぼちゃのチーズケーキは、かぼちゃが苦手な私でも食べられるほど格別においしかった。

 物心ついた頃から私と祖母はずっと一緒だった。たくさん話を聞いたし、いろいろな事を教えてもらった。

 2011年3月11日。あの日も私は祖母と一緒だった。当時私は3歳。記憶が曖昧だが、お昼寝中の私を机の下まで引っ張って必死に守ってくれた。あの時祖母が守ってくれなかったら私は生きていなかったかもしれないと思うと、感謝してもしきれない。

 祖母とは大きくなるにつれて会話が減った。適当に返事をし、祖母に対して怒ることも増えていた。こんな態度はいけないと思っていながらも、私は素直になれなかった。

 私が葛藤している間に祖母はだんだんと弱っていった。祖母は入院し、コロナ禍だったため面会できなかった。死期が迫り、1回だけ面会が許された。病室で二人きり、いつもの元気な祖母がいない。私は何を話してよいのか分からず、言葉が出てこなかった。その数日後に祖母は帰らぬ人となった。

 ある日、私は数年前の誕生日に祖母からもらった手紙を見つけた。「大好きなかなるちゃんへ」。その文字を見た瞬間、後悔が押し寄せた。たくさんの愛を伝えてくれた祖母に私は愛をどれだけ伝えただろうかと。

 たくさんの愛を伝えてくれた祖母のように、私もたくさんの人に愛を伝えられる人になりたい。もう二度と同じ後悔はしないように。

(入駒奏羽(かなる) 15歳 東松島市矢本一中3年)

 「愛の物語」応募は、字数が1面「つつじ野」と同じ700字と、原稿用紙1枚の400字の2種類から選ぶ。書式は自由で、メールと郵便で受け付ける。締め切りは1月末から当面延期する。優秀作は朗読会=2月17日(土)午後2時、かほくホール=で紹介する。
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