塩釜市の小学校で4年生の担任だった男の先生に、今でも感謝している。50年も前のことなのでお名前をはっきりとは思い出せない。その先生のおかげで算数が好きになったのだ。
夏休みの宿題が学校提出用の学年共通のものと、担任するクラスの児童に向けて先生が独自に作った計算問題集が出された。当時のプリントと言えばわら半紙であり、それが100枚つづられていた。先生は「やってもやらなくても良い」とおっしゃったのが印象的だった。
簡単な問題から難しい問題まで加減乗除が印刷されていた。毎日コツコツやり、とても楽しかったことを忘れてはいない。計算問題は答えが一つなので分かりやすい。確かめ算をして当たっていると達成感があり、面白くなって最後まで続けることができた。
それから苦手意識がなくなった。先生はきっと存じないはず。存命であれば伝わるといい。先生の愛情がいっぱい詰められたあの夏の宿題がきっかけで、僕が変われたことを。
(菊地善一 会社員 58歳 塩釜市泉沢町)