2023年度の「石巻かほく」川柳の最優秀賞が石巻市新館の高橋豊さん(70)、優秀賞は東松島市赤井の片岡シュウジーさん(81)、石巻市あゆみ野の日野信吾さん(76)に決まった。高橋さんは初の最優秀賞。選者の水戸一志さんが選考した。
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<選者・水戸氏から>
年間成績は入選句の得点(佳作1点、◎2点)の累計に従った。
最優秀賞の高橋豊さんは当欄投句3年目。にわかに頭角を現した印象だが、入選を重ねることによって面白さを知ったのか、ほとんど毎週、途切れずに作品が届いた。魅力は句に個性がある点。岸田総理の答弁の軽さを突いた「◎経済経済経済いと軽し」は誰も真似できない表現。「蕨採り下から上へ目を凝らす」からは、姿が見えるような面白さが伝わる。
優秀賞の片岡シュウジーさんは最優秀、優秀、優秀と3年連続の入賞。「科学値で拭いても残る風評値」など、鋭い切り込みを得意とする。強引なアレンジの没句が多いのもこの人らしい。
同じく優秀賞の日野信吾さん。「◎いい人になろうなろうと落し蓋」は、年間を通じて最も印象に残る一句だった。
阿部磨さん、岩出幹夫さん、後藤新喜さん、菅原れい子さん、藤田笑子さんたちの頑張りも評価したい。
◇受賞者の声/最優秀賞・高橋豊さん
受賞はとてもうれしく思います。病が落ち着き、元気になったと紙面でお知らせできるのもうれしい。
川柳は作陶仲間の投句を見て、3年前に始めました。以来、独学です。週に5句は詠んでいます。俳句もたしなんでいます。
ネタ探しは主に新聞ですが、簡単ではありません。昔から本好きで小説、旅行記、法律関係などを読んできました。好奇心は旺盛な方だと思います。
若い時、既に学生運動は下火になっていましたが、政治には敏感な世代でした。学生時代は、金権政治などに憤慨しました。東京の新聞社でアルバイトを経験し、見聞を広めました。
石巻市水沼の小さな農家の出身です。元々、権力への反抗心、反骨心が強くあります。川柳は権力を嗤(わら)うのが神髄ですよね。一庶民として、少しでも「お上」を一刺ししたいと思っています。